健康診断や人間ドックで血糖値・ヘモグロビンA1c(エーワンシー)が高いと指摘されて戸惑っているあなた。
糖尿病は日本人の5~6人に1人がかかっている、とてもありふれた病気です。でも、糖尿病は決して放置してはいけないことをご存じでしょうか?
それは、糖尿病が進行して合併症が起こるとQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)が大幅に低下し、命にもかかわる危険性があるからです。
健康診断で血糖値が高いといわれました…
大丈夫!これから生活習慣の改善と適切な治療をすれば、糖尿病でない人と同じ、またはそれ以上に健康で長生きすることが可能ですよ!
この記事の前半では「糖尿病はどのような病気か」、後半では「糖尿病の治療法(生活習慣の改善含む)」と「糖尿病の合併症」について解説しています。
ぜひ最後まで読んで糖尿病について理解を深め、「糖尿病になる前より、もっと健康になる」ことを目指してくださいね!
糖尿病ってどんな病気?
私たちが食事から摂取した糖質は消化され、ブドウ糖になって腸から吸収されて、血液中に入ります。
血液中のブドウ糖は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きで、筋肉や肝臓などに取り込まれ、エネルギー源になります。
余ったブドウ糖は、肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄えられたり、中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられるのです。
インスリンの働きが悪ければブドウ糖が細胞に取り込まれず、なかなか血液中の糖(血糖)が減らないので高血糖になります
次のうち、どれか1つでも満たすと「糖尿病型(糖尿病の疑い)」です。該当した場合、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
- 空腹時血糖値(10時間以上絶食後の早朝空腹時の血糖値) 126mg/dL以上
- 随時血糖値(食事のタイミングと関係なく測定した血糖値) 200mg/dL以上
- 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dL以上
- HbA1c 6.5%以上
糖尿病の診断基準について詳しくはこちら
出典:国立国際医療研究センター・糖尿病情報センター
高血糖はどうしてマズいんですか?
高血糖を何年も放置しておくと、全身の臓器にさまざまな合併症を引き起こす原因になるからです
例えば、血管が傷つき動脈硬化を引き起こして脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなります。
それ以外にも、神経障害・腎不全・失明・感染症など多種多様な合併症のリスクがあり、日常生活に大きな支障をきたすかもしれません。
ですから糖尿病を指摘されたら早い段階で医療機関を受診し、生活習慣を見直して血糖値を良好に保つことが大切なのです。
血糖値が高くなる要因
健康な人の場合、次のような仕組みで血糖値は一定の範囲に保たれています。
食後に血糖が高くなる
→①膵臓のランゲルハンス島という所にあるβ細胞からインスリンが分泌される
→②インスリンが血液中のブドウ糖を体の細胞に取り込ませる
→取り込まれたブドウ糖はエネルギーとして利用される。余ったブドウ糖は肝臓、筋肉、脂肪細胞に蓄えられる
→血液中のブドウ糖は少なくなり、血糖値は下がる
糖尿病の方は、①と②に不具合が起こっています
インスリン分泌低下
【①の不具合】十分な量のインスリンが分泌されない状態
【原因】
- 遺伝的素因
- 加齢
- 肥満
- 高血糖の持続による膵臓β細胞の疲弊
- 自己免疫・ウイルス感染による膵臓のランゲルハンス島の炎症→β細胞の破壊(1型糖尿病)
インスリン抵抗性
【②の不具合】インスリンを受け取る細胞の感受性が低下し、ブドウ糖を細胞に取り込ませる作用が低下している状態
インスリンの効きが悪いので、さらにインスリンを分泌する
→過度の負担が続いた膵臓β細胞が疲弊する
→インスリン分泌不全が進む
→糖尿病が進行する
【原因】
- 過食
- 肥満
- 多量の飲酒
- ストレス
- 運動不足
食べすぎ、ストレス、運動不足…心当たりがありすぎます
今回の検査結果を、早めに生活習慣を見直すチャンスにしてください
糖尿病の自覚症状
糖尿病の初期は血糖値が高いだけなので、血液検査をしない限り「糖尿病」だとということに気づくことはほとんどありません。
体調は悪くないし、急いで治療しなくてもいいかなって思うんですが
症状がでるのは糖尿病が進行してからです。将来の健康を考えて、早期発見・早期治療を強くお勧めします
高血糖が続くと5年後、10年後に全身の様々な合併症を起こすおそれがあります。
自覚症状がないうちに、しっかり対策しておきましょう!
糖尿病の種類
1型糖尿病
膵臓のインスリンを分泌するβ細胞が破壊されてしまう病気。小児に多く、2型に比べて患者数は少数です(糖尿病全体の約5%)。
原因はまだわかっていない点もありますが、「自己免疫性(免疫が自分の細胞を攻撃してしまう)」「ウイルス感染」が考えられています。
2型糖尿病
代表的な生活習慣病。まずは生活習慣を見直すことが必要になります。健康診断で指摘される「糖尿病」の多くは、この2型糖尿病です。
2型糖尿病は、さまざまな要因が重なり発症すると考えられています。
- 加齢(特に40歳以上)
- 遺伝的要因(家族に糖尿病の人がいる)
- 肥満
- 運動不足
- ストレス
僕より大食いで太っているのに糖尿病でない人もいますよ?
糖尿病の発症には遺伝的要因が大きく関わっているからです
生活習慣の改善は、糖尿病以外の病気の予防・改善にもつながります。できるところから少しずつ、健康的な習慣をはじめてみましょう。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて指摘された、糖尿病の診断基準を満たさない軽い糖代謝異常。
妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンが効きにくくなります。
そのため、もともと妊娠中は血糖値が上がりやすいのですが、一定の基準を超えると妊娠糖尿病と診断されます。
糖尿病以外の疾患や治療薬によるもの
他の病気や薬剤の投与が原因となって起こる糖尿病を「二次性糖尿病」といいます。
二次性糖尿病の原因には、以下のようなものがあります。
- 内分泌疾患(副腎、甲状腺など)
- 膵臓の病気
- 肝臓の病気
- 感染症
- ステロイド、一部の抗がん剤などの薬剤
糖尿病の検査
血糖値・75g経口ブドウ糖負荷試験
血糖値:血液中のブドウ糖の濃度
空腹時血糖値:10時間以上絶食したあとの血糖値
75gブドウ糖負荷試験:75gブドウ糖液を飲み、30分後、60分後、120分後に測った血糖値
判定区分 | 空腹時血糖値 | 75gブドウ糖負荷試験2時間値 |
---|---|---|
正常型 正常高値 | 100mg/dL未満 100-109mg/dL | 140mg/dL未満 |
境界型(糖尿病予備軍) | 110-125mg/dL | 140-199mg/dL |
糖尿病型 | 126mg/dL以上 | 200mg/dL以上 |
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
直近1~2か月の血糖値を反映します。
判定区分 | HbA1c |
---|---|
正常型 | 4.6~6.2%(糖尿病治療ガイドライン) 5.6未満(特定保健指導の基準値) |
境界型(糖尿病予備軍) | 6.0~6.4% |
糖尿病型 | 6.5%以上 |
1~2か月の平均がわかるので、空腹時血糖値だけでは見逃してしまう、初期の糖尿病を発見することができます
尿糖
基準:陰性(-)
尿糖検査は糖尿病の早期発見に役立ちますが、尿糖陽性でも糖尿病とは限りません。血液検査の結果と照らし合わせることが必要です。
ただし妊娠中の場合は、糖尿病でなくても約半数の人で尿糖が陽性になります。
また、体質的に血糖値が正常でも尿糖が陽性になる人がいます(腎性糖尿)。この場合治療の必要はありません。
糖尿病の治療法について
血糖値が高いなら薬で下げればいい、と思っていませんか?
実は、糖尿病の治療でもっとも大事なことは、バランスの良い食事と適切な運動です。薬物療法をする場合でも、食事療法をしなければ血糖値を適切な範囲内に保つことが難しくなります。
2型糖尿病の人では、食事療法だけで良好な血糖コントロールが得られることもありますよ。
いやだなあ。糖尿病用の食事なんてマズそう。忙しくて運動なんて無理だし…
糖尿病食や運動習慣は、健康な人にも取りいれてほしい内容です。それに、糖尿病だからといって食べたらいけないものはありません
ちゃんと治療したら、糖尿病は完治するのでしょうか?
完治はできませんが、糖尿病と診断されてから早めに生活習慣や肥満の改善をすることにより、薬物治療が不要になることがあります
糖尿病の患者さんは
- バランスのとれた食事・運動・節酒など生活習慣に気をつけている
- 定期的に診察と検査をうけている
そのため糖尿病の治療が、他の病気の予防や早期発見にもつながりやすいです。
糖尿病の患者さんが早めに生活習慣を改善し適切な治療を続けた場合には、糖尿病でない人と同じかそれ以上、健康で長生きすることが可能といえます。
糖尿病の食事療法
糖尿病食は味気ない病人食ではなく、「その人の体格や活動量に見合ったカロリーで、栄養バランスの取れた理想的な食事」です。
1日に必要なエネルギー量と栄養素の摂取量は人によって違いますので、主治医と相談して決めてもらいましょう。
糖尿病は甘いものの食べ過ぎが原因だと思ってました
甘いものに限らず、糖質、脂質のとりすぎに注意です
食事療法の効果
- 血糖コントロールがよくなる
- 理想的な食事をとることで、血糖だけでなく、肥満、高血圧、脂質異常症の改善につながる
- 肥満を改善すると、インスリンの分泌能力や働きが改善する
食事プランをつくるにあたって
自己流は危険です。食事療法は生涯にわたり続けていくものですから、主治医・管理栄養士と相談して、無理なく継続できるプランを作成しましょう。
内容はライフスタイルや食の好みによって一人一人違ってきます。外食やコンビニ利用が多い人は、どのようなものを選び、組み合わせたらいいかを覚えてください。
食事療法について学ぶためには、次のような方法があります。
- 病院、クリニック、自治体などが開催する「糖尿病教室」を利用する
- 糖尿病の食事療法に関する本を購入して勉強する
- 糖尿病患者さん向けの宅配食を購入して、内容を参考にする
- 糖尿病教育入院で学ぶ(別の項で説明します)
今日からできる簡単なポイント
- 1日3食、なるべく決まった時間に食べる
- 3食の量を同じくらいにする
- ゆっくり、よく噛んで食べる
- 腹八分目にする
- ご飯やパンよりも、肉、魚、野菜を先に食べる
- 毎食野菜を食べる
- 食物繊維をとることを心がける(野菜、いも類、こんにゃく、キノコ、海藻、玄米、全粒粉パンなど)
体にいいといわれる食材も適量が大事です。食べすぎに気をつけてくださいね
食品交換表の活用
適正なエネルギー量の範囲内で、バランスの取れた食事プランを作るのに参考になるのが「糖尿病食事療法のための食品交換表」(日本糖尿病学会編)です。
食品交換表では、日常食べている食品を、栄養素によって6つの食品グループと調味料に分けてあります。
6つのグループからバランスよくとれるように、どのグループから何単位とるか(1単位=80Kcal)を決めて、献立に反映します。主治医や管理栄養士と相談しながら、プランを作成しましょう。
糖尿病の運動療法
仕事が忙しくて、運動する時間なんかないですよ…
まず1日10分だけ動く、ことから始めてみましょう
「運動が必要なのは分かっているけど時間がない」「休みの日は疲れて運動する気になれない」といわれる患者さんは少なくありません。
実はわたしも運動があまり好きではないので、いままで運動習慣がなかった人が、週3回は運動しようといわれても気が進まないのはよく分かります。
でも、糖尿病の治療に運動療法は欠かせません。まずは、
- 意識して早歩きする
- 駅やマンション、勤務先では、できるだけエスカレーター、エレベーターではなく階段を使う
- 電車やバスでは座らずに立つ
- ランチのあと少し散歩する
- テレビを見ながら筋トレする
など、時間を使わなくてもできるところから始めてみませんか?
運動量や運動の内容は、年齢、体重、体力、健康状態等によって違ってきます。医師の判断で運動を控えるように言われることもあります。
運動療法を始めるにあたっては必ずメディカルチェックを受け、医師と相談してから始めてください。
運動療法の効果
- ブドウ糖を消費するので血糖値が下がる
- インスリンの効果が高まる(インスリン抵抗性の改善)
- 肥満の改善
- 脂質異常症の改善
- 血圧の改善
- 心肺機能の改善
- 筋力低下、骨粗鬆症の予防
- がん、認知症のリスクを減らす
- ストレス解消
食後に運動すると、食後の血糖の上昇を抑えるため特に効果的です。
減量すると血糖値やHbA1cだけではなく、血圧、中性脂肪や悪玉コレステロールの値、尿酸値も改善することが多いのですよ
体重コントロールが将来も健康でいることへの第一歩ですね
どんな運動をどれくらいする?
運動には有酸素運動とレジスタンス運動があります。両方を組み合わせて行うと効果的です。
有酸素運動とは | 大きな筋肉を使う 全身運動 | ウォーキング ジョギング 水泳など |
---|---|---|
レジスタンス運動とは | 筋肉に負荷をかける動作を繰り返し行う運動(筋トレ) | 腕立て伏せ スクワット 腹筋 ダンベルなど |
水中ウォーキングは、有酸素運動とレジスタンス運動の両方になります
【有酸素運動】
一般的に中等度の強度(ややきついと感じる程度)で行うことが勧められています。
具体的には、運動時の心拍数が50歳未満では100~120拍/分、50歳以上では100拍/分以内が目安です。
ウォーキングなら、1回15~30分を1日2回、1日では1万歩が目標だと…
最初から無理をせず、少しずつ慣らしていってくださいね
運動する時間がない場合でも、通勤や買い物で歩くことで運動になります。
【レジスタンス運動】
毎日ではなく2~3日に1回、週2~3回行うことが推奨されています(筋肉が疲労から回復する時間が必要なため)。
時間のない方は、テレビを見ながらスクワットをしてみてください。日常の階段の昇り下りも筋トレです。諦めずに、無理なく継続していきましょう。
糖尿病の薬物療法
糖尿病治療の土台は、あくまでも「食事療法」と「運動療法」です。
食事療法と運動療法を2~3か月続けて、良好な血糖コントロールが得られない場合は薬物治療が開始されます。
たくさん食べたいときや運動したくない時は、薬を増やして血糖値を下げたらいいんじゃないですか?
そんなことしたら膵臓が過労死してしまいます
薬の量・服用タイミングは、必ず主治医の指示を守ってください。
もし、生活リズムが服用タイミングに合わせにくい場合は、変更できることもあります。遠慮せず主治医や薬剤師に相談してくださいね。
薬の種類
お薬は、主治医が患者さんの年齢、体重、ほかにどんな病気をもっているかなどを考慮して、一人一人に合ったものを処方します。
飲み薬
ビグアナイド薬 | 肝臓からの糖の放出を抑える。消化管からの糖吸収を抑える。インスリン抵抗性を改善する。 |
スルホニル尿素薬 | インスリンを分泌させる。低血糖に注意。 |
チアゾリジン薬 | インスリン抵抗性を改善する。むくみ、急激な体重増加に注意。 |
グリニド薬 | インスリンを分泌させる。内服してすぐ効き始めるので食事の直前に服用。低血糖に注意。 |
グリミン薬 | 血糖値が高いときインスリンを分泌させる。インスリン抵抗性を改善する。 |
α-グルコシダーゼ阻害薬 | 食事の直前に服用し、糖の消化・吸収を遅らせる。食後高血糖を改善する。 |
SGLT2阻害薬 | 尿中に糖を排泄し、血糖を下げる。尿量が増えるため脱水に注意。 |
DPP-4阻害薬 | インクレチンというホルモンの働きを強める。血糖値が高いときインスリン分泌を促し、血糖値を上げるグルカゴン分泌を抑制する。 |
GLP-1受容体作動薬 | 血糖値が高いときインスリン分泌を促すとともに、血糖値を上げるグルカゴン分泌を抑制する。 |
配合剤 | 異なる作用の2つの薬を1つの薬に配合した薬。服用錠数や回数を減らせるのがメリット。 |
注射薬
インスリン製剤 | インスリンの補充。その作用時間により、6種類に分類できる。低血糖に注意。 |
GLP-1受容体作動薬 | 血糖値が高いときインスリン分泌を促し、血糖値を上げるグルカゴン分泌を抑える。脳と胃腸に作用し、食欲を抑制する。 |
配合剤 | インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の配合剤 |
もし忙しくて薬が切れたら、友人の薬を借りてもいいですか?
冗談でもやめてください! 忙しい方は、少し余裕をもって受診しましょう
同じ糖尿の薬であっても、たくさんの種類があります。予想できる副作用や、注意すべきこともそれぞれに違います。
初めての薬をもらうときは、「気をつけなければいけないこと」「飲み忘れたときはどうするか」「食事がとれないときはどうするか」などを、医師や薬剤師に確認しておきましょう。
(補足)糖尿病教育入院について
初めて糖尿病と診断された方や、血糖コントロールがなかなか改善しない方を対象に、入院して糖尿病について学んでいただくために行われているものです。
医師の診察や看護師からの指導のほか、食事については管理栄養士から、運動については理学療法士、薬については薬剤師、とそれぞれのエキスパートから詳しく学ぶことができます。
期間は病院によって数日~2週間と幅があり、内容もそれぞれの病院で異なっています。
集中して糖尿病について学びたい方は、お近くの病院で糖尿病教育入院が実施されているところを調べてみてください。かかりつけの医師や薬剤師に尋ねてみるのもいいですね。
入院中に学んだことを、しっかり実践していきましょう!
糖尿病治療の目的は「合併症」を予防すること
網膜症って? 腎症って? 神経障害って?
・網膜症は失明の原因になります
・腎症は透析が必要になる原因になります
・神経障害はしびれなど全身の色々な症状を引き起こします
おどさないでください
糖尿病でも、きちんと血糖コントロールができていれば問題ありません
なぜ血糖をコントロールする必要があるかというと、将来、合併症を起こさないようにするためです。
次に、三大合併症とその他の合併症についてみていきましょう。
糖尿病三大合併症
糖尿病網膜症
長期間、高血糖状態が続いたことにより網膜の毛細血管が損傷を受けたことで起こります。最悪の場合は失明する場合があります。
初期段階では自覚症状がほとんどないので、糖尿病の患者さんは1年に1回は眼科を受診して網膜症の検査を受けましょう。
早期発見、早期治療が視力低下を防ぐ鍵です
進行すると、次のような症状が現われます。
- かすみ目
- 視力低下
- 飛蚊症(目の前に小さな点や糸のようなものが浮かんで見える)
糖尿病腎症
高血糖状態が長期間続くことで腎臓の機能が徐々に低下していく疾患です。進行すると透析療法が必要になることもあります。
初期段階では自覚症状がほとんどありません。進行すると次のような症状が現われます。
- むくみ
- 疲労感
- 吐き気
- 貧血
定期的に受診し、尿検査や血液検査を受けて、腎機能をチェックしましょう
糖尿病神経障害
糖尿病神経障害は、糖尿病の合併症の中で最も頻度が高い症状です。
高血糖状態が継続することで、体のさまざまな神経(感覚神経、運動神経、自律神経)に障害が起こります。
- 感覚神経障害…足先からのしびれ・痛み・冷感が起こる、足にケガをしても痛みを感じないなど
- 運動神経障害…筋肉の萎縮、筋力の低下により歩行に支障がでるなど
- 自律神経障害…起立性低血圧、無痛性心筋梗塞、発汗異常、排尿障害、消化不良、便秘、下痢など
糖尿病神経障害の予防には、「血糖値のコントロール」と「動脈硬化の予防」が重要です。血糖値はもちろん、血圧やコレステロール、中性脂肪の値を基準値内に保つようにしましょう
その他の糖尿病合併症
- 動脈硬化
- 歯周病になりやすい
- 骨折が起こりやすい
- 傷が治りにくい、感染症にかかりやすい
- 認知症の発症リスクの上昇
- がん罹患率の上昇
生活習慣の改善、適切な治療をすることで、これらのリスク上昇を回避しましょう
まとめ 糖尿病といわれたら、まず生活習慣を見直しましょう
高血糖が早めにわかったのは良かったのだ、と前向きにとらえることにします
今から生活習慣を改善すれば、糖尿だけでなく他の病気の予防にもなります
糖尿病は初期症状がほとんどありません。将来の合併症を予防するために、早期発見、早期治療がとても大切です。
治療の中心となるのは、バランスの良い食事と適切な運動です。これを継続することで、糖尿病だけでなく高血圧や脂質異常症の改善にもつながります。
また、定期的に受診することで他の病気の予防や早期発見につながり、まさに一病息災ともなります。
これを機会に糖尿病と生活習慣の改善について理解を深め、健康な生活を送りましょう。疑問があったらかかりつけの医師や薬剤師、栄養士などに遠慮なく質問してくださいね!